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ぶなの森通信 2018年5月号

子どもの成長と発達

 4 月号では「幼児期で大切なこと2つ」というテーマで書かせていただきました。「体づくりと模倣」です。その中で、「模倣する」ということからみえる、子どもの成長と発達について、今回は書きたいと思います。かなり長くなってしまいますので、何回かに分けてお読みください。長文は今回だけにしますね、長すぎると読む気力が無くなってしまいますよね(笑) 今回だけお付き合いください!

 「子供の成長と発達」と聞くと、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?
誕生して、一日をほとんど寝て過ごす状態から、目覚めている時間が長くなり、笑うようになったら、だんだん身体を動かし始め、そのうちに寝がえりを始めて、ハイハイをして、1 歳になるころには立って歩き始める。喃語が出始めて、少しづつ単語になり、1 語文 2 語文がしゃべれるようになる。、、、、だんだん走ることができるようになる、、、手先も器用になってきて、、、というように運動能力や言語能力に関しての発達段階は多くの育児本に書かれています。以下は子どもの発達と成長に関しての国の資料です。

▼文科省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1282789.htm
▼愛知教育審議会(保育指針、幼稚園教育要領解説から抜粋)
http://www.pref.aichi.jp/kyoiku/gimukyoiku/singikai/youji/H26/siryou/siryou4.pdf

 これらは、主に保育士や幼稚園教諭向けの資料です。 この資料を基に保育士や教師は年間計画を立て、月案、週案、日案を立てて保育にあたります。私も、名古屋市立の保育園で 13 年間勤めてる間に毎年、年度末の 3 月末になると大急ぎでこの作業をしなくてはなりませんでした。 (ドイツでの幼稚園は年間計画と月間などの計画表は作成しません)

 さて、皆さんはこの資料を読んで、では具体的に日々どうやって子どもたちと過ごすのは良いか? 具体的子どもの何を見て、どういうサポートや接し方をしていけばよいのか分かりますか?昔自分でこの作業をたくさん経験しましたが、今思うことは、発達段階を学ぶことはとても大切なことです。上記のサイトで書
かれていることはどれも大切なことが書かれていると思います。でもこれだけだと、どうしても、子どもを見る目が「できる、できない」に偏ってしまうような気がします。現場では多くの保育士や教師がそういう目で子どもを見てしまうことは昔も今も変わりません。そこで、今回は 2 年前に「子育て講座」の中で書いたものから一部抜粋して掲載いたします。国の資料とは違った視点「子どもの意識の広がり」で子どもの発達と成長をみていきたいと思います。

0 歳から 7 歳くらいまでの意識の変化

1. 生まれたばかりの赤ちゃん

 はっきりした自分意識はありません。眠っているような暗い意識を赤ちゃんはもっています。小さな子どもは内と外の境界線がまだはっきりしていません。まだ分かれていないふたつの世界が渾然一体となった中に子どもの意識は住んでいます。そしてその意識は成長していくにつれて、だんだん覚醒していき、自分意識が目覚めていきます。

2. 0歳~

 赤ちゃんは、全身が感覚器官です。体を通して世界を経験していきます。自分のまわりで動くものを目で追ったり、自分の手を見つけて口に入れたり、お母さんの声がわかったり、だんだんと周りの世界に気付いていきます。気づくということは、気づく主体があるということです。つまり子どもの眠っている暗い意識の中に、何かに気づくことによって、明るい部分が増えていくと言えます。

3. 1歳~ 立つ、歩く、言葉を話す。

この年齢の子は、まだまわりの世界と一体になって生きています。そして遊びは、ほとんどが一人遊びです。子どもは最初、名詞から話すようになります。それは、まわりにある「気づいたもの」に名前をつけていくという行為です。それは当然ですが、まわりの世界に気づいて初めてできることであり、まわりの世界と向き合うことができるようになってきたということです。そしてそれは「模倣」という形で現れます。言葉で指示されて動くのではなく、子ども自身の意思の力によっていろいろな場面で周りの人間の真似をしていきます。それから上手に歩いたり、走ったり、運動能力が高まるにつれ言葉の数が増えて、2語文、3語文が話せるようになります。 短い文章が話せるようになるということは、二つ三つの違った物事を結びつけることができるようになったということで、意識がずいぶんと覚醒してきたということです。それに伴い、遊びの中で模倣が始まります。

4. 2歳~

 意識が少しずつ覚醒してきたこの時期、子どもはいわゆる「反抗期」にはいります。「だめ」「いや!」という言葉が多くなり、お母さんがすすめることにことごとく反抗します。今まで徐々に覚醒していった意識が、ひとつの明るい大きな部分となり、それが最初の「自分意識」となったのです。今まで、お母さんにとっては、素直でとても育てやすかった子が、急に言うことを聞かなくなり、「魔の2歳」の時代に突入です。しかしここで子供の意識の中には大きな変化が生じています。今までは、自分と外の境界線がはっきりしていなかったのに、「反抗」して周りの世界に抵抗を感じることで、逆に「自分」を意識できるようにな
るのです。よく言う「自我が出てきた」です。実際はまだまだ自分意識ははっきりしていませんが、ここにきてやっと、まわりの世界と自分の世界の間にうっすら境界線がつき始めたのです。 「反抗期」というと、お母さんにとっては一番大変な時期ですが、実は子どもの成長発達の中では、一気にジャンプする時期なのです。そしてこの大きな山を一つ越えると、次の発達段階に入っていきます。2 歳後半から 3 歳前半にかけて、子どもは、丸い閉じた円や、二つの線を交わらせて描くことができるようになり、「わたし」「ぼく」という代名詞を使って自分を呼ぶことができるようになります。

5. 3歳~

 この時期の子どもの意識は、呼吸のように外に出て行ったり、中に返ってきたりというプロセスを繰り返します。まだ、外の世界と自分の世界とのはっきりとした境界線はありませんが、自分意識は次第に大きくなっていき、それまでの子どもとは違った意識で、外にあるものと関わり始めます。それが一番顕著に出るのが「あそび」の場面です。模倣から始まった遊びが、この時期には、「みたて」ができるようになります。それは「ファンタジー」の力です。想像力、創造力です。ままごと遊びの中の、木のしゃもじが、突然電話になったり、櫛になったり、包丁になったりします。覚醒してきた意識は、まわりの世界にあるものに、内側からの力で他の意味を与えることができるようになったのです。しかしそれは意識的に、「しゃもじを電話にみたてよう」とは考えません。それはちょうど夢を見ているような意識の中で行われています。そして、遊び方に大きな変化が現れます。今までは一人遊びが多かったのですが、この時期の子どもは、他の子どもたちと一緒に遊ぶことを好むようになります。けんかをしながら、おもちゃの貸し借りをしながら、我慢したり、待ったりしながら、「社会性」と言われる意識が少しづつ育っていきます。

6. 5歳~7歳

 一段と自分意識が大きくなっていきます。この時期は自分のことをちょっと一歩下がってみることができるようになります。自分のイメージ通りのことができないと、「まちがった」と言ってまた新しくやり直すことがよくあります・また自分のイメージをもとに遊びをつくりだすことができます。お医者さんに行った次の日はお医者さんごっこをしようとします。聴診器をあてる真似をしたり、注射をしたり、患者役の子どもをベットに寝かせ、治療がはじまります。お店屋さんごっこといって、いろいろなお店で見たことを思い出して、木の実や棒を野菜や果物として売ったりします。この時期の子どもは、自分の生活体験の中から、物事のイメージを持つことができるようになります。そこには、それまでよりも一段とはっきりした自分意識・内的世界が外の世界と向かい合い、その本質をちゃんとつかんでいるのがわかります。そしてこの時期が終わるころには、6歳臼歯が生え、歯が生え変わり始め、体を作る最初の7年間の課題が終わりを迎えます。


 上記の年齢は大体の目安です、個人差が大きいことは言うまでもありません。しかし子どもの自分意識の広がりはこの順序で進んでいきます。

 このような見方で子どもを見る意味とは何でしょうか? 自分意識というのはつまり、その子の「意思」と繋がっています。自分の意志で自分の道を選んで自立して生きていく大人になってほしい、これが大人としての子どもたちに対する私たちの願いです。

 その意志を育てるプロセスがこの「自分意識の変化」の中に含まれています。模倣や見立ては自分の意志から行われるものです。反抗期は親との境界線が作られる発達のプロセスであり、大事な意志を育てる時期です。そう考えると、子どもの遊びにむやみに入り込んで大人が遊んであげることは、子どもの意志の力を弱めることになってしまう可能性があるということです。先の「愛知県教育審議会」の資料のなかにある、(5)遊びを通して育つ 子どもは、遊びを通して、仲間との関係を育み、その中で個の成長も促される。は社会性が育つとともに、この「意志」の力が育つと理解できます。大人の役割は、子どもが安心して十分に遊べる環境をつくってあげる事であり、子どもの遊びをコントロールしたり、むやみに入り込まないようにすることではないかと思います。

夏の休暇を農家で過ごす

 ポニーにのったり、羊や牛や鶏の世話をしたり、藁の中で眠ったり、森の中を散歩したり、農家での休暇は子どもたちにとって自然や動物と触れ合う貴重な機会になると思います。 ぜひ一度ご家族で体験してみてはいかがでしょうか?

▼日本語サイト
https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/willkommen/unterkunft/913046

▼ドイツ語サイト
https://www.bauernhofurlaub.de/hofarten/alle-bauernhoefe.html

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