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ぶなの森通信 2018年12月号

今のままでは、将来困る?

今回もよくいただくご質問からです。

1. 「小学校へ入学したら、45 分間じっと座って授業を受けなければなりません、それなのにうちの子は、遊びに集中できなくて、いつもフラフラしています。こんなことで集中力のある子に育つのでしょうか? 学校へ行ってやっていけるのでしょうか?」

2.「なかなかお友達と遊べないので心配です。お友達のおもちゃに興味があって、無理矢理とったり、自分のおもちゃを触れられると、すぐに相手をたたいてしまいます。これで将来社会性が身につくのでしょうか?」

3.「好きなことにはすごく集中するのでよい面ですが、園での生活で、みんなと同じように、一日のプログラム通りに動けないようです。先生に促らされても頑固なので、先生の言う通り動けません。こういうことで、学校へ行ってみなと同じように行動ができるのでしょうか?」

子育てや、躾、幼児教育についてご相談を受けることは多いです。上記のような質問は、誰かに相談しなくても、皆さんの中で自問自答することはきっとあるのではないでしょうか。またご家庭でご夫婦で話し合われる時もあるかもしれませんね。さて、このようなご相談を受ける時のお子さんの年齢は 3.は3,4歳、1.2 は 2 歳前後のことが多いです。

5 月号の「子どもの成長と発達」でも書きましたが、45 分座っていられるようになるのは、本来は小学一年生でも難しいものです。なので、一昔前の小学校では 45 分間じっとして授業を聴くだけでなく、身体を動かしたり、歌ったりなど、担任の先生は授業に工夫を凝らしました。 ドイツも同じです。でも今の日本の小学校はちょっと違うかもしれません。日本へ行った時に聞くお母さん方の話では、授業の中の「遊び」が少ないようです。これは実際に遊ぶことだけでなく、そのクラスの雰囲気や子どもたちの様子を感じ取って、先生が柔軟な対応をするという意味です。「今日はちょっと集中力がないから、一度外へ出てみるか」というような先生は今は少なくなった、というよりできなくなった、と私と同じ年代の教師である友人が言っていました。決まっているカリキュラムをこなすだけで精一杯な状況のようです。先生に余裕がないのでしょうね。これは、担任の先生が責められるものではありません。学校の仕事が先生に余裕を持たせないくらい、多い、というのがその原因のようです。

少し話がそれてしまいましたが、子供の成長段階を考えると、2 歳前後は社会性を身に着ける時期ではなく、一人遊びをいっぱいして、物との出会いを通して、感覚を育てる時期です。そして第一次反抗期が来て「いや」をいうことで、自分意識が芽生えてくる段階です。そして、なんにでも興味が向く時期で、じっとしているよりむしろ、部屋中を歩き回って、いろいろなものを触り、時には投げて、試す段階です。社会性を身につけるよりむしろ自分一人が楽しい時期なので、その時期にとことん一人で遊んでこそ、次の段階「他の子を意識する」に進めるわけです。もちろん個人差がありますから、みんながそうであることではありません。

③では、頑固で先生の指示に従えない。 「頑固」というと、人はネガティブに取りがちですが、言い換えれば、「自分の好きなものを知ってる」ということになり、好きなことはとことんやりたいという「集中力の高さ」が際立っていることです。 幼稚園時代の子どもにとって、これは素晴らしい能力です。プログラム通り、先生の指示通りに動く人間より、はるかに創造的です。

小学校に行って困らないため、大人になって困らないために、今、この 2 歳で身につけさせたいというのは、「今のこども」を無視した考え方ではないかと私は思います。つまり大人が描く理想の子ども像に、当てはめて、そこに向かわせる教育です。それは個性を尊重するという、昨今よく言われる言葉とは逆行しているように感じます。理想の大人 → 今目の前にいる子ども これを 今目の前にいる子ども→ 未來の姿 という見方に変えてみませんか?

将来のために、今こうする、のではなく、 今大切なことを十分体験させてあげて、その日々の連続が繋がって未来のその子をつくる。 将来の不安が、将来の楽しみになるのではないでしょうか?「この子いったいどんな子になるのかしら?」未来を楽しみに待つ姿勢は、目の前にいるお子さんのことを「あなたはあなたのままでいい」と丸ごと受けとめることになると思います。それは決してそのままで成長しないのを良し、とすることではなく、その子自身がいろいろなことを体験する中で成長することに信頼を寄せるということになると思います。小さいお子さんは、感じる能力が素晴らしくあります。私たち大人はそれに比べたらかなり鈍感になってしまっています。お母さん、お父さんが自分のことをどう思っているかは、お子さんは無意識のところで感じています。 どうか、お子さんの将来を信じて、お子さん自ら成長することを信頼し、世界で一番の応援者になってあげてください。お子さんにとっては、理想の子ども像と比べられるより、どんなにうれしいことでしょうか。今の連続が未来を作ります。今が大事!


デュッセルドルフに日本語とドイツ語の幼稚園をつくりたい、こんな思いはもうずいぶん前から私の中にありました。幼稚園は子どもが集まる場所、というだけでなく、もっと広く地域に開かれた場所であるのが理想だと考えています。そんな私の思いを実現させるべく、仲間と動き始めています。簡単なことではありませんが、私の考えに賛同して下さる方、そしてぶなの森をはじめ様々な場所で出会った方の応援があれば実現できると信じています。私の思いをぜひ皆さんに知って戴きたいと短い文章にしましたのでお読みいただけると嬉しく思います。

デュッセルドルフという街は日本人にとってはとても住みやすい場所ではあるけれど、日本と同じように住めるが故に、あえてドイツ人の生活の中に入っていかなくてもよいという状況をつくり、それがお互いの国のことについて学ぶ機会を少なくしているのではないかと私はいつも残念に思っています。習慣の違いや教育・子育てに関する考え方が日本人とドイツ人で違うことに違和感を覚え、それが批判につながるのは、個々の考え方には様々な背景があることを知る機会が少ないためではないかと思うのです。私がデュッセルドルフに幼稚園をつくりたいと思ったのは、ドイツ人や日本人という枠の中に自分を閉じ込めるのではなく、もっと広い視野で子育てや教育を考える場を持ちたい、もっと多くの人たちとディスカッションをしたり、交流したりする中で、お互いの違いから多くのことを学べる機会をつくりたいという思いからなのです。そういう意味では幼稚園開園はそれが目的ではなく、そこが始まりだと思っています。

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