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ぶなの森通信 2018年10月号

今月の「ぶなの森」通信は、9 月 19 日、20 日に行われた保護者会の中でお話させていただいた内容とほんの少しでしたが、体験していただいたワークショップの内容をまとめて、1 歳~3 歳の子どもたちとの日々の生活の中で、何に意識を向け、何を大事にしたいかを書いてみました。ご意見、ご感想は大歓迎です。どんな小さなことでも結構ですのでお寄せ下さい。「ぶなの森」のメールアドレス、ホームページ・お問い合わせサイトどちらでも構いません。今後の参考にさせて戴きます。

子どもと話す言葉、かける言葉の内容

 子どもたちとの会話は、毎日とても楽しいものです。大人が忘れてしまっている、純粋な物の見方や、発想が本当に可愛くついついそこを引き出そうと言葉が多くなってしまいがちです。でも、私はあたたかく必要なことを簡潔明瞭に伝えることを心がけています。

「すごい!」「上手」など一般によく使われますが、なるべくそれらはもっと具体的に子どもたちに伝わる単語を使っています。そして、私がどう思うかを表現します。「この色が私は好きだな」とか、「丸がたくさんでかわいいね」とかです。 特に、褒め言葉には気を遣っています。「褒めて育てる」とよく子育て本には書いてありますが、私は「褒める」ことには慎重になったほうが良いと考えています。2,3歳の子どもに、「上手」「すごいね」は子どもにとってはとても抽象的で、よく理解できない言葉ですが、お母さんやお父さんが、「上手」という時は、なぜか嬉しそうで機嫌がいい、と分かると、子どもたちは健気に上手と言われる絵を描こうとするようになります。例えば、黒のクレヨンで黒い太陽を書いた時に、「あれ? お日様って黒だったかな~」と言われると、黒だと上手ではなく、橙色や黄色だと褒められる、と子どもながらに理解して、褒められる絵を描こうとするようになります。これはもしかしたらちょっと極端な例かもしれませんが、似たようなことはよく幼稚園や小学校でも行われます。保護者会であるお母様が、「幼稚園で描かれている絵を見ると、全部似たような絵になっている」ということをお話しくださいました。お日様が黄色でチューリップが赤、空は青で、人の顔は肌色。これは決して 50 年前の話ではなく、驚くことに今でも幼児教育の現場で起こっていることです。 褒められるために、もしそういう表現をしているとしたら、それはとても悲しいことです。この年齢の子どもたちの絵は、そこに見たものを忠実に映し出したものではなく、自分自身の心をいったん通して、紙の上に表現されます。出てきたものはそのまま受け取ってあげたいと思います。大人の目から見たもののあるべき姿を押し付けるのではなく、その子のあるがままを受けとめることによって初めて、その子らしさが発揮されていきます。個性を大事にする教育と長い間言われ続けてきた日本ですが、先ずは大人が自分の物差しで子どもを見ることを止めようとするところからしか、その子の個性を伸ばし、強みを見つけることは出来ないと思います。「上手ね」という言葉を意識的にやめてみませんか?「上手」という言葉が、決して悪いわけではありません。ただそれを使っている時の自分の意識が、もしかしたら上手な絵、上手な作品、上手な・・・にだけ向かっていないかどうか?を考えていただきたいと思います。普段何気に無意識に使っている言葉をちょっと意識化してみることは、自分の生き方を見直すことにつながります。

「今日は何したの?」「楽しかった?」 という問いかけも、毎日託児や幼稚園から帰ってくるとお子さんに聞く言葉の一つだと思います。これもまた、幼稚園児には少し抽象過ぎると思います。この世に生まれてまだ、3,4 年の子どもたちは語彙も少なく、また過去に起こったことを、すぐに思い出せるほど記憶が繋がっていません。 質問は、具体的にしてあげるのがこつです。はさみ、のり、クレヨン、などの道具や切る、貼る、折るなどの行為を具体的に言ってあげると、記憶が繋がるきっかけになります。「うちの子は、幼稚園のことを何も話さないのですよ」「聞いてもいつも黙っていて何も答えられない」と大人の期待する答えが返ってこないことを、ネガティブにとらえることが多いです。でも、2,3歳の子がそんなにすらすら今日幼稚園でやってきたことを言えるでしょうか? はっきり言うと、そういう時は質問の仕方が悪いことが多いです。

質問家という人がいることをご存知ですか? 著書に「質問は人生を変える」「子どもがやる気になる質問」など多数あります。この本は 2,3 歳の子にはすべて当てはまらないですが、それでも質問を少し変えるだけで、驚くほどお子さんとのコミュニケーションがスムーズにいくことがあります。これも一度試してみる価値はありますね。ぜひいつも通りの、お決まり文句ではなく、ちょっと違った質問をお子さんにしてみてはいかがでしょうか?

静けさの中で耳を澄ます

 「ぶなの森」の託児中は、出来るだけ言葉での指示を少なくしています。お片付けの時は、小さな鐘の音が鳴ります。おやつの前には、鉄琴の音をいくつか響かせます。大きな声の指示で動くのではなく、小さな音に耳を済ませて聴くことを大事にしています。最近はライアー(竪琴)の奏でる音を聴いて、その後に歌っています。ほんの 30 秒でも静かな時を持つことは、その子の心に落ち着きをもたらしますが、なかなか家ではそういうことは難しいですね。お子さんとの一対一では難しいことも、集団生活の中では意外にできるという事がよくあります。家では片付けできなくても、みんなと一緒だとできたり、家では食べ物の好き嫌いを言うのに、幼稚園では何でも食べる、、とか。 ぶなの森の子どもたちは、みなさんが思っている以上に、この「耳を澄ます」ことができるのですよ!私達はプロの幼児教育者として、子どもたちに静かな空間をつくることは義務だと考えています。 おやつの前の静けさ、楽器の音色を聴くときの静けさ、この時間が子どもたちの中の安心の空間を広げ、聴く力を育てます。 ご家庭でできるのは、寝る前の絵本の読み聞かせの時でしょうか?1 分、2 分でなくて10 秒でも、20 秒でも構いません。食事の時、いただきますをする前、手をつないで 10 秒黙ってから挨拶をする。 幼稚園から帰ってきたら、黙ってギューッと抱きしめる。 どんな時でも、一瞬黙る時間はとても大事です。 これも今日からちょっと試してみて下さいね。 耳を澄ます体験が、聴く力を育て、自ら聴こうとすることで、意思を育てます。

「遊びを通して感じる自分ワークショップ」 背中の力

 3 年前から日本の幼稚園や大人の方向けに開催しているワークショップの一部を保護者会の参加者の皆さんに体験していただきました。 子どもとの関係であまりうまくいかない時に「子どもと向き合う」という事をよく使いますが、向き合うのはかえって逆効果なのです。正面から向き合うと、相手の話がすんなり入ってこない、どこか目の前にシャッターおろしてしまうという感覚に陥ることがあります。それを 90 度の角度や真横に座って 180 度にすると、あれ? と思うほど相手の話が素直に体に入っていく、不思議です。なにかちょっと二人の中にわだかまりができたら、斜め後ろからそっと肩を抱くようにすると、心がふんわり温かくなる。人間の身体は不思議です。ご夫婦やお子さんとの生活の中でこれも試す価値のある一つです。

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